本カテゴリー「価値の再認識」に限らず、これまで、様々な手法を凝らした法則のご紹介が多かったように思います。
そんな中、今回取り上げるのは、法則というにはあまりにも乱暴かもしれません。
小賢しいギミックは一切抜きの、どこまでも真っ直ぐ毅然とメッセージを打ち出す“直球ど真ん中”の法則です。
[Chapter 1] 事例から法則を読み解く
Honda「負けるもんか」はなぜ私たちの心を打ったのか。
こちらの広告は、きっと目にした人も多いのではないでしょうか。
2012年に、HONDAが大々的に打ち出した企業広告です。
当時、この広告を目にして、素直に感動したのを覚えています。
努力はたいてい、報われない。
でもそれが、「自分が努力をしなくていい理由」になってしまうのか?
HONDAは負けない。諦めない。
キミは、どうか。
そんな、あまりにもストレートな志が、貫くように、私たちに強く何かを訴えかけます。
もし、何か工夫を凝らしたギミックなどを施してしまっていたら、インパクトは半減していたでしょう。
これは、大本命の異性に想いを伝える時と、もしかしたら似ているかもしれません。
妙なテクニックを駆使して演出された想いよりも、直球ど真ん中、真摯に真正面から想いを伝えられたほうが、案外強かったりするものです。
そして、もうひとつ大切なのは、これも恋愛と一緒ですね、タイミングです。
このメッセージは多くの反響を集めましたが、それにはやはり、時代背景の影響が大きかったように思います。
何より当時は、震災後でした。
圧倒的な災害に打ちひしがれて、国民全体が半ばヒステリックなほどに空元気を出し、協力し合い、とにかく前に進もうとしていました。
そんなときに、こんな言葉です。
響かない、わけがない。
まさに、国全体に漂う空気感のようなものを、「負けるもんか。」という一言で、代弁した。翻訳した。
表現を弱くしてしまうだけ、の小賢しいひねりは一切ありません。
だからこそ、多くの人が共感できたのだと思います。
いまこの広告をみても、もちろん感動しますが、やはり「あの時あの瞬間に」目にしたときのインパクトには、遠く及ばないと思います。
この辺りの考察は、前に書いていたブログで取り上げさせていただいた
にも通底しています。
(長い考察ですが、もしご興味があればご覧ください。)
みんなが言いたかったこと、振る舞ってみたかったことを、言い当ててしまう強さ。
「負けるもんか。」にも、その原理が働いていたのでしょう。
ただ単に、直球勝負をしても、よほどの威力がない限りは心に届きません。粉砕してしまいます。
時代背景に合わせ、しかるタイミングで投げることが重要です。
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[ “直球ど真ん中”の法則|Point ]
◎小賢しいひねりは一切なし、「ド直球に」「堂々と」想いの丈をぶつける
◎「時代の気分」を読み、みんな言いたいのに言い当てられていないことに着目する
◎伝えたい想いと時代の気分の「接点」を見つけ、しかるべきタイミングで言い放つ
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以降では、この法則を念頭に置きながら、活用イメージを深めていきます。
[Chapter 2] 法則から事例を読み解く
女性の「強さ」を表現するには?
かなり抽象的な見出しになってしまいましたが…
女性の「強さ」を、動画を通じて伝えるにはどうすればよいでしょう。
「強さ」、といってもいろいろとあるわけですが、たとえば、SNS時代における「強さ」を考えてみます。
強さの裏返し、「弱さ」を露呈してしまうのは、きっと“ネットで匿名の人たちから陰口をたくさん書かれてしまう”といったことへの恐怖ではないでしょうか。
わざわざここで論じる必要もなく、多くの人がSNSで繋がりあった結果、必要以上に見栄を張っては己の虚像をつくりあげ、一方で誰かの悪事は千里を走るようになったことは、言うまでもありません。
だからきっと、誰もが心の底では思っています。
他人の目は気にするな。己を信じろ。
そんな着眼点を元に、直球ど真ん中でこのメッセージを発信したのが、アンダーアーマーでした。
ひとりの女性が、黙々とサンドバックに打ち込む姿。
その周りには、プロジェクションマッピングで、文字が映し出されます。
これ、実は、この人に対するネットでの悪口なんですね。
この女性は「世界でもっとも稼いだモデル」とも言われる、ジゼル・ブンチェン。
彼女がアンダーアーマーのタレントに起用されるとのニュースが広まったとき、SNSでは賞賛と同時に、「なぜあんなやつが!」といった悪意や嫉妬の言葉が溢れ返りました。
しかし、アンダーアーマーは考えました。
他人の目は気にするな。己を信じろ。
このCMでは、サンドバッグに向かって一心不乱にトレーニングする彼女の周囲の壁に、SNS上に実際に投稿された悪口を投影しています。
周囲の雑音にとらわれないこと。
黙々と努力し続けられる者こそが憧れの対象になること。
そんなメッセージを、一人の女性の姿とともに浮き彫りにするかのようです。
動画の最後に映し出される文字は一言、「I WILL WHAT I WANT(私が欲しいものを、私は望む)」。
最高にかっこいい「強さ」が響きますね。
「他人の目を気にしない」という強さを訴えた別の事例でいえば、英国のスポーツ促進団体・Sport Englandが制作した動画“This Girl Can”もそうでしょう。
「多くの女性が他人の目を気にするあまり、スポーツをすることに臆病になっている」という調査で明らかにし、「どんな体型の女性でも運動することは素晴らしいことだ」というメッセージを、まっすぐに、まっすぐに打ち出します。
女性讃歌、人間謳歌的な表情豊かな女性たちの姿に、とても励まされますね。
今回の法則は、とてもシンプル。
だからこそ、時代背景の読み方や、それを受けてのメッセージの打ち出し方、その強さの質が問われてしまいます。
ただ、回りくどいことを考えず、思い切って直球ど真ん中勝負をしてみる、という発想は、何のアイデアを考えるにせよ大事な視点だと思います。
※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。









