このカテゴリでは「いかに相手の心を動かし、参加行動の意欲を掻き立てるか」の法則をご紹介していますが、今回の法則は、心を動かすというよりも「生理的に動いてしまう」といったほうが近しいかもしれません。
“同調効果”の法則を取り上げます。
[Chapter 1] 事例から法則を読み解く
「アクビは感染る」を利用したコーヒーメーカーの広告が秀逸すぎる。
この画像を見ると、なんだかこちらまで眠くなってしまいそうです。
しかし、もし最寄り駅のデジタルサイネージ広告に、こんな「ただアクビをしている」だけの男性が大々的に映し出されていたら、あなたはどう感じるでしょうか?
きっと、何かを感じる以前に「こちらまでアクビをしてしまう」ことでしょう。
これ、実は、コーヒーメーカーの「Café Pele」というブランドが実際に設置した広告。
実際にこの広告を目にした人は、次々に思わずアクビをしてしまったそうです。
他人のアクビを見ると、70%もの人が自分でもあくびをしてしまう、というデータもあるそうですね。
では、なぜ「Café Pele」はこのような広告を仕掛けたのか?
この後の展開を見れば、それは一目瞭然です。
この広告はインタラクティブに反応するようになっていて、つられてアクビをしてしまった人には、「あなたにはコーヒーブレイクが必要なようですね」というメッセージが表示される仕掛けが施されていました。
(もちろん、コーヒーにはカフェインにより、「眠気を覚ます」という効果があります。)
そして現場にはコンパニオンもやってきて、コーヒーのサンプリングも行われます。
人が「生理的に動いてしまう」仕掛けをフックに、適切なメッセージを打ち出し、商品との濃密な接点をつくる。
とても秀逸な広告だと思います。
その中でも、今回の法則では、「他人のアクビを見ると、自分もついアクビをしてしまう」という、半ば強制的に生じる同調効果とも呼べる現象に焦点を当てます。
アクビ以外にも、「他人が“それ”をしていると、つい自分も“それ”をしてしまう(したくなる)」というものってありますよね。
たとえば、“笑顔(笑い声)”も、そのひとつ。
以下の動画「Lachen in der U-Bahn」は、とある地下鉄内でひとりの女性が、クスクス笑い出すところから始まります。
次第に向かいの人、周囲の人もクスクスと笑い出してしまい、ふと誰かが大爆笑してしまう。
するともう、勢いは止まりません。
笑顔はさらに広まり、車両全員に笑顔が伝染してしまいました。
何気ない日常の中の、幸福な瞬間です。
「アクビ」「笑顔」以外にも、まだまだ「他人が“それ”をしていると、つい自分も“それ”をしてしまう(したくなる)」というような、他人に“感染ってしまう”行為があります。
たとえば、小さな子どもは、お腹いっぱいのくせに「親が美味しそうにご飯を食べている」と、頂戴ちょうだい、とねだったりしますよね。
もしくは、美味しそうな匂いを嗅いだだけでも、思わずお腹が鳴ってしまったり。
食欲を掻き立てる表情や五感は、確実に伝染します。
「Cook Do」のCMは、人のそんな生理現象をまさに上手く突いている映像です。
同調効果をもたらす行為は、他にもあります。
シューズメーカーのアシックスが、大型のデジタルサイネージ広告を利用して仕掛けた「ASICS Run With Ryan」では、“誰かが走っていると、一緒に走りたく(競争したく)なってしまう”という同調効果を活用しています。
ハーフマラソン米国記録保持者で、マラソンでも米国歴代2位の記録を持っている選手が、何やらスタート地点で構えている。
その広告の前を通行人が横切ると、ランナーが走り出します。
その姿をみて、特に子どもなんかは、思わず一緒に走って競争してみたくなってしまうような広告です。
この辺りは枚挙に暇がないため、その他の具体例は呈示を控えますが、「他人が“それ”をしていると、つい自分も“それ”をしてしまう(したくなる)」と生理的に感じてしまう同調効果を見つけ、そこに自分の伝えたいメッセージをうまく絡めていく、という手法は非常に効果が高いと思います。
常に活用の可能性を探っていきたいですね。
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[ “同調効果”の法則|Point ]
◎「他人が“それ”をしていると、つい自分も“それ”をしてしまう(したくなる)」行為を見つける
◎“それ”をしてしまったからには〇〇ですよね、と「伝えたいメッセージ」を後から絡める
◎理屈ではなく、「衝動」「感情」の伝染(動き)を大切に
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以降では、この法則を念頭に置きながら、活用イメージをさらに深めていきます。
[Chapter 2] 法則から事例を読み解く
トム・ソーヤは「同調効果」を利用する天才だった。
「トム・ソーヤの冒険」に出てくる、塀のペンキ塗りのエピソードは、きっとご存知の方も多いと思います。
それは、こんなエピソード。
ある日、トムはポリーおばさんから、いたずらの罰として「塀のペンキを塗り替える」よう命ぜられます。
トムは嫌で嫌で仕方がなかったため、友達に手伝ってほしいとお願いしますが、もちろん誰も手伝ってはくれません。
そこでトムが、考えたこと。
“同調効果の法則”を使って、友達にペンキ塗りを手伝ってもらえないか?
彼が実践したのは、とてもシンプルな方法でした。
それは、いかにも楽しそうに塀のペンキを塗るということ。
トムの様子を見た友達たちは、面白そうだから自分にも塗らせてほしいと言ってくるようになります。
しかし、トムは「こんな楽しいことを人にやらせるなんて勿体ない」と断ります。
終いには、リンゴをあげるから塗らせてほしい、とまで言われます。
最終的にはトムはリンゴを食べながら、ペンキ塗りの作業は全て友達にやらせてしまうというお話です。
この寓話は、とても示唆に富むからこそ今でも語り継がれているわけですが、そのポイントとは「つまらなそうなことででも、“楽しそうにやる”というアイデアによって、人は寄ってくるし手伝ってもくれる」ということであり、これはまさに、前述した“同調効果”の法則のPointに沿っています。
トムのようなしなやかな発想力と遊び心を持つことができれば、毎日をより豊かに暮らすことができるでしょうね。
“同調効果”の法則は、別名“トム・ソーヤのペンキ塗り”の法則とも言えそうです。
[Chapter 3] ブレスト・トライアル
同調効果で「障がい者のパン屋」の売上を上げるには?
今回の記事の執筆にあたって少し調べていたら、こんなまとめ記事を見つけました。
障がい者の方々の低賃金に対して疑問を持っていた経営者が、彼らのサポートのために、配送業とは全く異なる業態のベーカリーに挑戦。
その名は、「スワンベーカリー」です。
既にチェーン展開もされてるくらい有名な店舗なので、そもそもさらに売り上げを伸ばす必要があるのかという話はありますが、特に障がい者の方々の雇用先として、パン屋さんが多いといった事実はあるそうなんですね。
なので今回は、「障がい者のパン屋」の売上を“同調効果“の法則でUPさせるアイデアを少し考えてみます。
といっても、この同調効果の法則、今回のお題に対して活用できるポイントは一点に絞られるかと思います。
それは、「焼きたてのパンを食べる姿、その匂い」を見る・嗅ぐと、生理的に「自分も食べたい」と思ってしまうということ。
で、あれば。
お店の前でただひたすら、焼きたてのパンを食べ続けるバイトを募集するというアイデアはどうでしょうか。
よくコンビニで肉まんなどを買い食いしたり、観光地でクレープを買ってしまったりするときって決まって、他のお客さんが店先で美味しそうに頬張ってる姿、その匂いを見て嗅いでしまった時だと思うんですよね。
それと原理は、全く一緒。
ただひたすら、お店の前で美味しそうに、焼きたてのパンを食べ続けてもらいます。
当然そのことで、ふらっとお店に入ってしまうマダムたちもいるでしょう。
また、結構というかかなり、「1日中パンを食べ続ける」っていうバイトはキツイと思います。
夢のようなバイト、かと思いきや、実際は超過酷。そのギャップが面白くて、ネット上でも話題になるかもしれません。
かなり手弁当的にできてしまうアイデアですが、実施の様子をまとめて意外に効果があれば、それもニュースとなるチャンスになります。
そして、きっとお気付きの通り、このアイデアはパンにかぎらず、買い食いできるような食べ物であれば何でも応用が効くので、いつか実践して効果を検証してみたいなと思っています。
※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。
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