一般的な認識として、企業と顧客との距離は遠く、ユーザーの視点に立てば「企業は万人向けのものをつくっているのであり、自分個人のことなんて見てくれていない」なんて思ってしまうもの。
そこで、企業がお金稼ぎのことだけを考えたら通常は行い得ないような「強く顧客に寄り添う」施策を行えれば、顧客の企業に対する好感度やロイヤルティは上向くはずです。
その普遍性を“あなたのためだけ攻め”の法則と題して、いくつか事例とともにご紹介します。
「たったひとりの顧客」を盛大に祝う“Million Mile Joe’s Surprise Parade”
こちらはホンダが海外で実施した、とあるファン感謝イベント。
中古のホンダ「アコード」を愛用し続けたコアファンの男性に対し、ホンダ自ら彼を祝うためのfacebookページを立ち上げてしまい、地元の人たちを巻き込みながらサプライズ・パレードを行ってしまうというもの。



企業に対する好感度やロイヤルティUPを考える際、ついつい“広く浅く”多くのファンに向けて感謝を示そうとしてしまいがちですが、むしろたった一人のコアファンに向けて盛大なお祝いを行ってしまうことで、ホンダを愛するすべてのファンに向けて“私たちはファンひとりひとりを大切にするブランドです”と語りかけることに成功しています。
この例ではたった一人に感謝を示すことで“あなたのためだけ”を演出していますが、他にも、いくつか方法がありそうです。その例を以下、簡単にご紹介していきます。
特定の属性に絞って“あなたのためだけ”を訴求すると?
▼「ハイヒールでの運転に悩む女性」の問題解決に挑んだ“Twingo Stiletto”
”石畳が多いポルトガルの首都・リスボンではハイヒールでの運転が難しい”という課題設定が少し恣意的ではありますが、そんな街で暮らすオシャレを諦めない女性たちの悩みを解消するという目的で、運転に快適なハイヒールを車ブランドが作ってしまったという事例。
▼「特定の名前を持つ人」を徹底的に応援した“松岡修造の C.C.Lemon元気応援SONG”
http://www.suntory.co.jp/softdrink/cclemon/song/
こちらは日本でも話題となりましたので、紹介不要かもしれません。
松岡修造さんが“100通りのあだ名”を直接呼びかけながら徹底的に励ますことを通じて、顧客に寄り添うことを目指したキャンペーン。
名前、という個人を指し示す強い記号に着目しながら、それをあだ名で呼ぶことで、より親しみやすさを持たせながら該当者数を少しでも増やすことに成功している、上手いやり口だと思います。
このように、特定の層に向けて”度の超えた”サービスを行うことで、ニュースバリューを創出しながらも、メッセージを受け取った人には強い感謝や感動を与えることができる。
そして、顧客自ら周囲に広めたくなるようなコミュニケーションとなっています。
先ほどのホンダの例でも同様のことが言えますが、SNSが普及した時代だからこそ、“絞って強く”訴求を行うことでコンテンツが拡散力を持ち、結果多くの人に気持ちのいい疑似体験を生み出すことに成功している、とも言えそうです。
これからは“ビッグデータ”を活用したカスタマイズ訴求が増える
近年、様々な活用方法が検討されているビッグデータですが、これを”あなたのためだけ”というコミュニケーションに活用していく流れは、ますます加速していくだろうと推測されます。
その最たる例と言えそうなのが、ブラジルの航空会社「TAM航空」が実施した、機内誌を自分専用の雑誌に変えてしまった“THE OWNBOARD MAGAZINE”というキャンペーン。
いつもお決まりで座席のシートに入っているこの機内誌ですが、実体験でもそうですがなかなか目を通す顧客が少ないそうで、事実、実際に読むのは乗客の中でたった3%だったという調査結果もあるほどだそうです。
そこでTAM航空では、チケットをオンラインで予約する際に「乗客さんにFacebookのアカウントでログインをしてもらう」という簡単な方法で、顧客ひとりひとりがいいね!を押した情報を分析し、興味を持ちそうな情報を集めて個人専用の雑誌に変えてしまいました。



そういえば少し前に、自社に影響力のあるPinterestユーザー50人に対して、ユーザーのこれまでのPinを参考にしながらその人専用ギフトを贈る、というKOTEXの施策 “Inspiration day” もありましたね。
このように、ビッグデータを活用しながらカスタマイズした情報やコンテンツを顧客に提供することで、顧客の好感度やロイヤルティ向上につなげる施策が今後増えてくるかと思います。
要チェックしていきたいと思います。
※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。


