SNS全盛期の昨今、強いコンテンツをつくることで、ユーザー側が積極的に情報拡散をしてくれるようになりました。
「注目を集めるバイラル動画やイベントを実施して、PRバリューを創出したい」という企業側の要求は、ますます強まっているかと思います。
では、ユーザーが拡散してくれやすいコンテンツの”強さ”とは、何か。
そのヒントになりうるアイデアの構造のひとつ、“ミスリード大どんでん返し”の法則を今回は取り上げます。
なぜ、小林市移住促進PRムービー “ンダモシタン小林” はバズったのか?
こちらは様々なWEBメディアやTVでも話題になりましたので、ご存じの方も多いかと思います。
宮崎県小林市が「移住促進」を目的に発表した、PR動画。
フランスから来て小林市に移住した男性が、森・水・星・食・人などをテーマに小林市を紹介していくのですが、ずっとフランス語だと思って聞いていた彼の言葉は、実はすべて”西諸弁”であることが最後に明かされる、というもの。



方言がフランス語に聞こえる、という事実発見の面白さ、素晴らしさが話題になった要因のひとつであることは周知の通りですので、あえてここでは触れません。
また、動画が早い段階でTVに取り上げられた、というのも十分バズった要因ですが、ここではそもそもなぜ、WEBメディアを含めた多くのメディアに取り上げられたのかを考えます。
そこには、人の“騙される快感”というものが、メディアが好むコンテンツと非常に相性が良かった、という側面があると思います。
人は騙されると、「騙された!」と、溢れる感情をつい誰かに伝えたくなります。
それを聞いた別の人は「自分なら騙されない!」とつい確かめたくなったり、「あなただったら騙される?」「みんな騙された!」と煽りたくなったりします。
そうした、試し、驚き、悔しがり、煽りたくなるような構造を内包するコンテンツには、自然と人を惹きつけて情報拡散を促す装置が埋め込まれていますから、メディアからしたらアクセス数や視聴率を稼ぐ絶好の機会です。
事実、多くのメディアがこの動画を”思わず二度見する!”“あなたも騙される”と煽りながら紹介していました。
“意図的に勘違いさせるミスリード”で安易な予想をさせてから、最後に“大どんでん返し”をして、気持ち良く裏切る。
SNSでの情報拡散を念頭に置いた場合、とても相性の良い、注目を集めるための演出法です。
そんな普遍性をここでは“ミスリード大どんでん返し”の法則と名付けましたが、当然昔も今も、この法則性は様々な事例で見ることができます。
たとえば、こちらも最近話題になった例ですが、資生堂が実施したプロモーション“High School Girl?“。
動画に登場する可愛い女子高生たちが、実は…という触れ込みで各メディアで紹介されるわけですが、オチとしては、“全員男性でした”というもの。
(中には、“女子高生の誰かが女装している”という触れ込みのものもありました。)
こうした煽り文句は、見る人に確かめたい欲求を掻き立てますから、むしろこうした、“思わず確かめたくなる”ような見出しを考え、そこから逆算してコンテンツを考えることは有効だと考えられます。
また、こちらは随分昔の動画事例ですが、海外のAudiが放映したCM“4 key rings”では、日本ではまずできない表現方法ではありますが、非常に鮮やかで端的な演出で、見るものの予想を気持ち良く裏切っています。
競合4社の車のキーを壁に掛けながら、最後はAudiのブランドロゴが完成して“競合の持つ強みの全部がAudiにはありますよ”と問いかける演出。
とても美しく、そして強いですね。
“ミスリード大どんでん返し”の法則を、リアルな体験に落とし込むと?
これまで紹介してきた事例は全て映像演出にまつわるものでしたが、これをリアルな体験の場に落とし込んでプロモーションを行った事例もあります。
それらを以下、簡単にご紹介していきます。
▼市内にOPENしたオシャレなレストラン。それがまさか、〇〇だった!? “Lidi/Dill”
Lidl / Dill from Colony on Vimeo.
ストックホルム市内に3週間限定でOPENした、「DILL」という名のレストラン。
非常にオシャレなこのレストランを取り仕切るのは、英国から招き入れた一流シェフ。
それが“破格の安さ”で提供されているとあって、瞬く間に話題になったといいます。
このレストランが十分認知された後、驚きの事実が明かされます。
それは、食材が全て、市民が“安かろう悪かろう”と思って利用していた、ディスカウントスーパーマーケットのLidlのものであった、というもの。
高級感・高品質感といった先入観を外面で十分に与え、ミスリードをさせた後、まさに大どんでん返しを披露した事例です。
▼ついに憧れの渡航先、コスタリカへ。…と思ったら!? “Blid Trip”
BLIND TRIP PR & Content 2min 20052015-QuickTime H.264 from GREY on Vimeo.
こちらはあまりにも大胆なプロモーションですが、エクアドルの事例から。
エクアドル人から人気の渡航先は海外のコスタリカなのだそうですが、実はエクアドル国内にも、勝るとも劣らない素晴らしい渡航先がたくさんあるそうで、もっと多くの国民に、そんな国内の魅力にも目を向けてほしいと頭を悩ませていました。
そんな思いから実施したのは、なんと、顧客を騙して「コスタリカに向かったと見せかけて国内の似た場所でツアーを敢行する」という施策。
着陸した空港からツアー先のお店・看板まで、全てコスタリカと偽るという徹底ぶりがすごいですが、この取り組みを通じて、体験者にもニュースを見た人にも、強く広く国内の魅力が伝わっていきました。
これ以上はいたずらに長くなってしまうので詳しい紹介を避けますが、他にも、自身のブログで取り上げさせていただいた“The Tenth Sentiment / 10番目の感傷(点・線・面)”というアート作品にも、まさにこの法則は当てはまります。
http://ryrientar.hatenablog.com/entry/2015/01/31/153834
事前に種明かしをしておきながらも、チンケな予想を遥かに上回る影と光の演出で、見るものの想像を超え、圧倒する。
このような素晴らしいアイデアを目指して、アイデアと格闘していきたいですね。
※その他の類似施策は、以下URLにまとまっていますのでご参考ください。
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